顕微鏡歯科学会参加
5月31日~6月2日に第20回日本顕微鏡歯科学会が東京で開催され参加してきました。
コロナ窩で数年学会がオンラインで行われていましたが今回は会場に出向き現地開催で行われ、久しぶりに全国から集まった熱心な顕微鏡歯科を行っている友人達と再会も出来ました。
2000年頃より歯科に顕微鏡が応用され飛躍的に歯科医療技術が向上しました。
特に低侵襲で治療成功率が高く、治療期間も短縮出来るようになり、今回の講演でも歯周再生医療、根管治療、精密補綴治療で効果の高いものが世界各国から紹介されました。
特に興味があったのがデジタルテクノロジーを用いた技術でVR・AR・3Dplanningを応用し術前Planningの精度を向上させてそれを実際の顕微鏡治療に用いるものです。
複雑な症例に対応するためにはどれだけ事前に情報を収集できるかが成功を左右します。当クリニックでもコンピューターによるシミュレーションと3Dプリンターによる模型の応用は行っていますがVR・ARを用いることによってさらに術前情報が充実できることが分かりました。
また、手術支援ロボットの発展についても消化器外科の医師の先生から講演がありました。
歯科では完全ロボットによる治療を行うことはかなりハードルが高いようですが中国などでは積極的に研究が行われているようです。当クリニックではインプラントの治療に手術支援にコンピューターによるナビゲーション手術設備を2年前より導入し現在はほぼ全てのインプラント手術に用いています。これを用いることによって以前では出来なかった正確な埋入を短時間に行うことが出来るため本当にありがたく思っております。
外科の先生の講演の中で印象的だったのが「何でやるかより誰がやるかが大切」と仰っていたのはまさにその通りと響きました。私もこれは日々感じることで最新の設備があると言うだけでは意味が無くそれを実際活かしていくためには医療スタッフ全体のチームとして各人の役割に責任を持って遂行することが非常に重要と思っています。
顕微鏡歯科では歯科衛生士の参加も多く見られます。世界的に衛生士が顕微鏡を用いて臨床を行うことは無いようです。日本の衛生士は顕微鏡の利点を自分の業務に活かしメンテナンスや画像の録画システムを用いてわかりやすい説明等に応用しています。
現在歯科治療に顕微鏡を用いることの有効性に異論を唱える歯科医師は少ないと思いますが実際の現場で患者さんがその有用性を享受出来ている割合はまだまだ少ないのが現実です。これは歯科医療が高度化されても日本独自の健康保険制度の制約の中では顕微鏡を用いた医療が実践できない環境にあることが最大の原因と考えています。
今回集まった歯科医師、歯科衛生士、歯科助手の皆さんはそのような厳しい環境の中、患者さんに最良の貢献をするために日々努力されている方々であり、私自身も非常に励まされさらなる挑戦をし続けようと思いました。